ある社長と釣り人の話

ある大企業の社長が、休暇で港町を訪れました。

海沿いを歩いていると、昼間から釣りをしている男性を見つけて、声をかけました。

社長:「釣れてますか?」

釣り人:「まあまあですね」

釣れた魚を見せてもらったり、軽く世間話をして——

社長:「ところで、お仕事は何をされてるんですか?」

釣り人:「漁師です」

社長:「へぇ、漁師さんってどんな1日なんですか?」

釣り人:「朝5時に船を出して、10時には港に戻ります。そこから荷揚げして終わりですね」

社長:「なるほど、1日5時間くらいなんですね。それなら、もう1回午後から漁に出れば、売上は倍になりますよね?」

釣り人:「たしかに、そうかもしれませんね」

社長:「じゃあ、1日2回漁に出てみたらどうですか?単純に2倍儲かりますよ」

釣り人:「それは面白い。もしそうしたら、どうなるんです?」

社長:「1年頑張れば、その利益で新しい船をもう一隻買えますよ」

釣り人:「おお、それはすごい。で、それからどうなるんです?」

社長:「2隻あれば、朝と昼にそれぞれ出航できる。つまり、今の4倍稼げるようになります」

釣り人:「おお〜、夢が広がりますね。それで、それで?」

社長:「そうなれば信用もついて、大きな借り入れができるようになる。そうすれば大型船も買えますよ」

釣り人:「大型船!今とはまるで違う世界ですね」

社長:「その通り!もっと遠くまで漁に出られるし、もっとたくさん獲れるようになります」

釣り人:「すごいなあ……で、最終的にはどうなるんです?」

社長:「10年も頑張れば、借金も全部返せるはずです」

釣り人:「10年後、借金もなくなったら何をすればいいんでしょう?」

社長:「昼からゆっくりお酒を飲んで、釣りでもして過ごせばいいんですよ」

釣り人:「……今、それやってます」

社長:「………」

この話は、ドイツの全国紙に掲載された「社長と釣り人」の話です。

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